NeuralJet®:AIを用いた微小液滴着弾制御技術
NeuralJet®は、高精度インクジェット印刷の最適化のためにエレファンテックが独自に開発したAIを用いた着弾制御技術 です。インクジェットヘッドおよび機械系から発生する数多くの誤差要因を同時に補正・吸収することで、金属微小液滴の高精度な吐出を実現します。
NeuralJet®の制御によりインクジェット印刷は狙い通りの微細パターンを高い精度で形成することが可能となり、常に安定した生産品質を提供します。
同じ印刷機でのNeuralJet®有り無しの印刷結果比較
ハイライト1:超高精度
NeuralJet®の制御により、 汎用ピエゾチップの使用時でも、着弾位置を高精度に制御し、平均着弾誤差をわずか1.74 µm1に維持します。実環境での評価として、4.8pLのインク滴を幅40µmの溝に2,596発吐出する試験において、外れ値なしで100%の溝内着弾を達成しました。
Φ40µm円形井戸への充填

Φ40µm円形井戸の3D撮像

40µm幅の円形溝への充填

40µm幅円形溝の3D撮像
ハイライト2:AIに最適化された流体制御 × 機械制御の協調設計
NeuralJet®は「AIが後処理ですべて補う」設計ではなく、ハードウェア(流体制御、機械制御)と AIを用いた着弾補正 をセットで開発することで最大限のシナジーを発揮します。従来型の制御方法のように全ての誤差をハード側で抑え込むのではなく、 AIにより補正できない再現性のないランダムな誤差を抑えるようシステム 全体を設計しています。
下の写真は、制御条件の違いによる吐出状態の差異を示しています。どちらのパターンも理想からは外れているものの 、右側のパターンの方がAIにとってモデル化と補正しやすいため、最終的な精度を大幅に向上させることができます 。

着弾ずれの比較:再現性のないずれ vs. 再現性のあるずれ(AIが補正しやすい)
ハイライト3:ローカルコンピュートで動作する
NeuralJet®は、ローカルのGPU/CPUリソース2上で動作するよう設計されており、製造現場においてクラウド接続や外部計算基盤に依存せず、必要に応じてオフラインで再学習を行うことが可能です。データセットから学習と精度向上を続ける一方で、NeuralJet®は意図的に軽量に設計されており、ローカルハードウェア上で安定して動作することで、生産環境内での信頼性と安全性の高い運用することができます 。
ハイライト4:量産対応設け
量産環境では、高いプロセス能力、安定したスループット、そして最ダウンタイムの最小化が求められます。NeuralJet®は、プリントヘッド交換、キャリブレーション、日常メンテナンスといった重要な工程における手動調整を排除することで、オペレーターの熟練度に左右されない一貫した運用を実現します。また、生産が拡大するとノズル数が増え、ノズル故障率もそれに伴い上昇しがちです。NeuralJet®はノズル状態に基づいて吐出パスを継続的に最適化し、ノズルばらつきに対するシステムの許容度を大幅に向上させます。摩耗したプリントヘッドを使用する場合でも、NeuralJet®はノズル状態に適応することで安定した印刷出力を維持します。
1: 80mm角ワーク内にランダムに配置した643の液滴に対し、計測された座標と目標座標の平均着弾誤差が1.74μm
2: ELP04 に統合された組み込みコントローラー上で動作し、必要に応じてGPU等の演算資源を拡張可能です。