材料Material

独自製法を実現させる新規材料は自社で研究開発しています。

インク開発技術

ピュアアディティブプロセスで使用されるナノインクは、金属ナノ粒子が分散されたインクです。このナノインクがインクジェットヘッドから吐出され、印刷描画プロセスが開始されます。次の工程では印刷されたナノインク層を光焼成します。ここでは金属ナノ粒子が光エネルギーを吸収して発熱し、金属ナノ粒子同士の融解現象を引き起こします。このとき、基材と金属ナノ粒子焼結層が密着します。

ナノインクには、液体としての安定性、インクジェットの吐出性と印刷描画性、ナノインク組成中の溶剤乾燥性、ナノ粒子の焼結性、基材との密着性などの物性が求められます。これらはピュアアディティブプロセスにおいて重要なキーマテリアルとなります。

SEM(CP):After Sintering

プライマー開発技術

プライマーは、ナノインクと基材の密着性を向上させる役割を果たしています。プライマーを使用することで、基材とナノインクが物理的にしっかりと結合し、高い導体密着強度を実現できます。従来の方法では、ナノインクを焼結させるプロセスに時間がかかり、量産性が低下する問題がありました。しかし、エレファンテックはプライマーとナノインクの材料設計技術により、従来の1/10以下のプロセス時間で同様の密着性を実現できる技術を開発しています。

さらに、プライマーはインクジェットプロセス中の液滴着弾挙動を制御し、より微細な配線パターンを描く技術にも寄与しています。従来は印刷装置のスペックや印刷プロセスの条件設計が必要でしたが、プライマー技術の進歩により、印刷装置や印刷プロセスの開発難易度を大幅に低減でき、高精細で高速な生産が可能となりました。

着弾サイズを限りなく小さくそれでいて、液滴挙動を制御できる

材料解析技術

これらの材料開発を可能にしているのは、研究フェーズから実施している徹底的な現象分析技術です。

例えば、ナノインクと基材との高い密着強度を発揮させるためには、一つ一つの金属ナノ粒子の挙動を観察し、「なぜ密着力が低下しているのか?その密着強度低下を引き起こしている要因は何か?」を明確にする必要があります。

ピュアアディティブの各プロセスを確立するとは、「ナノレベルの材料技術やそれらによって引き起こされる物理現象を確実に制御すること」だと考えており、ナノレベルでの分析技術によって、よりクリティカルな改善策を素早く開発できると考えています。