第四世代印刷機「ELP04-PCB」について
インクジェット技術は、ピコリットルオーダーの微小液滴を、必要な部分に必要な量だけ非接触で塗布することが可能な理想的な印刷製法です。
しかしながら、そのインクジェット印刷プロセスを、高速・高精度に、品質を保ちながら実現することは難しく、エレクトロニクス分野での量産適用例も限られていました。
ELP04-PCBは、量産レベルの印刷に必要な、高精度・高生産を実現するための機能を備えています。また、エレファンテックで開発した、AI技術を用いた高精度インクジェット製造技術NeuralJet™を適用するために最適な印刷プラットフォームとなっており、AI技術を適用した高精度印刷を実現可能です。 エレファンテックは、当該装置を用いたプリント基板(PCB)の量産を2025年からスタートするとともに、半導体後工程やディスプレイなどPCB以外の用途にも、本ELP04プラットフォームを展開していきます。
特長1:高精度・高生産を実現する、インクジェット印刷システム
- 高精度・高生産なインクジェット装置を実現するためには、高速動作時の着弾位置再現性を担保するための高堅牢な機械構成と、高速な印刷プロセスを実現するための長尺ノズルが必要になります。
- ELP04-PCBでは、大型の石定盤をベースにした高精度動作可能な機械構成、および、プリントヘッドアレイによる約600mm 幅の長尺ノズルを有しており、長さ830mmのワークを1パス当たり約6.2秒で印刷することが可能です。
- 高精度・高生産を実現したインクジェット印刷システムにより、エレファンテックにおけるPCB量産工程においては、500mm × 830mm サイズのシートを約31秒で印刷(5パス想定)することにより、約30m2/時の生産性を達成予定です。
- また、このインクジェット印刷システムの繰り返し着弾位置精度(σ)は主走査方向0.75μm、副走査方向0.44μmを達成しています※1。
ELP04-PCB繰り返し着弾位置精度
特長2:エレファンテックの培った量産経験に基づいた、量産プロセス対応機能
- 信頼性の高い量産プロセスの実現には、高精度かつ安定的にインクジェット印刷装置を稼働させる必要があります。
- ELP04-PCBでは、高いレベルの着弾精度再現性を実現する高精度ステージ制御機能や、AI技術を用いた高精度インクジェット製造技術NeuralJet™ による着弾位置制御機能を実装することで、高い精度での量産プロセスを実現しています。
- さらに、全ノズルのインク吐出状態チェック機能、ノズルの自動メンテナンス機能、インク状態を安定化させるためのインク循環機能など、高い精度での量産プロセスを安定的に稼働させるために必要な各種機能を有しています。
- これらの機能は、エレファンテックが量産で培ってきた知見に基づいて設計されており、インクジェット印刷技術を量産適用するために最適化されています。
ELP04-PCBが備える量産プロセス対応機能
特長3:最適仕様を選択可能な、モジュラー設計思想を適用した印刷プラットフォーム
- ELP04-PCBはモジュラー設計思想を適用した印刷プラットフォームであり、下図に示したようなモジュールを組み合わせることで印刷装置を構成します。
- この設計思想により、ワークの大型化や自動搬送への対応など、各種カスタマイズが可能です。
- さらに、必要なモジュールを組み合わせ、用途によって最適仕様の印刷装置をカスタマイズすることで、半導体後工程やFPD製造など、PCB製造以外の量産プロセスにも対応可能な構成を実現しています。
ELP04-PCBを構成するモジュール
ELP04-PCBは、エレファンテックがPCB量産で培ってきた知見に基づいて開発した、高精度・高生産を実現するインクジェット印刷装置です。エレファンテックでは、当該装置を自社でのPCB量産に2025年から導入するとともに、PCB量産システムとして装置外販も進めていきます。
また、半導体後工程やFPD製造などの用途においても、高精度・高生産性のインクジェットシステムとしての引き合いを得ており、本ELP04印刷プラットフォームを活用した多用途展開を進めて参ります。
エレファンテックは、インクジェットを応用した量産技術開発のパイオニアとして、高精度・高生産インクジェット技術による製造技術革新に挑戦していきます。
※1:
弊社環境に設置したELP04-PCBを用いて、弊社金属ナノインクをフィルム基材に印刷しました。
同一ノズルから10回のステージ走査時に分割して吐出した10ドットについて、想定着弾位置からのずれ量を測定。その測定を100ノズルで行った結果です。AI技術を用いた高精度インクジェット製造技術NeuralJet™を用いて補正できない要素を抽出して計測しています。
フィルム基材とノズルの間の距離は約0.4mmです。
弊社環境に設置したELP04-PCBを用いて、弊社金属ナノインクをフィルム基材に印刷しました。
同一ノズルから10回のステージ走査時に分割して吐出した10ドットについて、想定着弾位置からのずれ量を測定。その測定を100ノズルで行った結果です。AI技術を用いた高精度インクジェット製造技術NeuralJet™を用いて補正できない要素を抽出して計測しています。
フィルム基材とノズルの間の距離は約0.4mmです。
ピエゾインクジェットチップ | EPSON PrecisionCore |
ノズル長さ | 約600 mm |
主走査速度 | 400 mm/s |
1パスあたりの印刷時間 | 約6.2 秒 |
ワークサイズ | 500mm × 830mm |
装置サイズ | 5.0 m × 5.0 m × 2.4m |
装置重量 | 15,000 kg |
本件に関するお問い合わせ先
発表・取材等について 広報担当 pr@elephantech.co.jp