エレファンテック杉本です。前回は、インクジェット印刷を用いたセンシング分子の印刷が有利な点、というテーマでお話をしました。
さて今回は引き続き最近の研究などをご紹介したいと思います。
インクジェット製造方法のメリット
最近の研究からも引用しておきましょう。
これは、バイオセンサーではなくスーパーキャパシタの製造方法になっちゃいますが、Zhangら(2019) では、インクジェットによる製造は、高度なパターンと形状の柔軟性を持つスマートエレクトロニクスのスケーラブルな生産のための有望な手段の一つと指摘しています。
このスケーラビリティーというのは、筆者もインクジェットの重要な点だなと思ってます。同じ製造装置をたくさん並べてもいいですし、製造装置のサイズを大きくしてもいいですし、インクジェットヘッドを家庭用プリンターのようにスキャンするタイプから、ラインヘッドと言って、印刷したい横幅いっぱいにインクジェットヘッドが並ぶ用意すると製造速度が飛躍的に向上するという手法もあります。インクジェットは非常にスケーラブルな製造方法なのです。
この論文では、インクジェットはスケーラビリティーに加えて、デジタルマニュファクチャリングのメリットである、少量生産でもコストパフォーマンスが良いこと、形状のカスタマイズが容易であること、製造時の材料の廃棄物が少ないことなどもメリットとしてあげています。筆者としては非常に共感できます。
デジタルマニュファクチャリング・Additive Manufacturing の良さを実現したフレキシブル基板 P-Flex
あ、もう一つ用意した論文が、スマートテキスタイルの製造で、ちょっとこれもバイオセンサーの製造ではないのですが、インクジェット製造の良さを語ってくれているので紹介します。Karimら(2019) によると、インクジェット印刷は、デジタルマニュファクチャリングであり、AMでもあるため、材料廃棄物の削減が可能で、任意の量の材料の精機層が様々な基材の上にできる点などが良いと指摘しています。これらのメリットはインクジェットによる製造技術を、フレキシブルでウェアラブルな電子機器の製造のための最も有望な技術の一つと評価できる理由であるとしています。エレファンテックの P-Flex もまさにこの実例の一つであると筆者は考えます。
さて、ちょっと話題がバイオセンサーからそれてしまいましたので、戻していこうと思います。バイオセンサーインクジェット製造界隈で、吐出できるセットを用意しておいたら喜ばれそうと私が勝手に想像している材料や、それの弊社での試験状況などもこちらで読者の皆さんと共有していきたいなと考えています。