初めてのフレキシブル基板「学ぶ」

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プリント基板を使ったことがあるけれどフレキシブル基板の経験はゼロという人向けに、「始める」「もっと知る」「学ぶ」の3ステップで解説します。
読み終えた時に

  • 「フレキシブル基板の効果的な使い方」が分かり、
  • 「フレキシブル基板を(それなりに)設計できる」こと。
  • 次に基板を作るときに「フレキシブル基板が思い浮かぶようにする」こと。

を目的としています。

フレキシブル基板を利用する前に学習すべき3つのポイント

フレキシブル基板を初めて設計する前に学ぶ必要があるのは次の3つです。

  • 耐久性
    何度も繰り返し曲げ続けられる訳ではありません。どの程度曲げても良いか仕様を確認します。
  • 設計
    曲げた時に問題が出ないような設計の工夫があります。
  • コネクタ
    FPCをリジッド基板と接続するコネクタを確認します。

フレキシブル基板(FPC)の耐久性

耐久性の中でも、特に重要なのは耐屈曲性です。屈曲にもいくつかのモード(屈曲のしかた)がありますが、仕様書には一般的に摺動に対する耐性が書かれています。

耐屈曲性は、屈曲半径と摺動回数で示されます。言い換えると「ある半径で右図のように動いた場合に何回動くまで使えるか」を示しています。

*具体的には「抵抗値がN%上昇するまでの回数」という定義がされていることが多い。

設計時に必ず仕様を見て、使おうとしているFPCが用途に合っているかを確認します。

屈曲半径と摺動回数

フレキシブル基板(FPC)の設計

フレキシブル基板に特有の設計のコツをいくつか覚えれば、後はリジッド基板と同様に設計してOKです。

FPCのコツは、耐屈曲性に配慮した設計です。

注意点は3つ

  • 角を作らない(曲線を使う)
  • 屈曲部はシンプルにする(部品を置かない、線幅を変えない、できればコーナーを置かない)
  • 外形も角を作らない(基材の避けを防ぐ)

角を丸める(ティアドロップ、Fillet)
角を丸める(ティアドロップ、Fillet)
設計の例

フレキシブル基板 P-Flex®️ 設計のコツ「パターン設計編」

コネクタ

FPCコネクタでFPCとリジッド基板を接続します。

たくさん種類があるので、FPCの仕様に合うかチェックしましょう。

特に注意したいのは3つ。

  • 電極のピッチ:FPCの最小パターン幅・間隔と合うか
  • 適合するFPCの厚さ:FPCの厚み(補強板込み)と一致するか
  • 接点の表面処理:FPCと同じ金属か

あとは使いたいコネクタを選べば(だいたい)大丈夫です。

FPCコネクタ
FPCコネクタ
FPCコネクタの選び方【はじめようフレキシブル基板】

補強板

FPCでは多くの場合、補強板を使う必要があります。

使用する目的は以下の二つです。

  1. コネクタにFPCの厚みを合わせる
  2. 部品を実装する部位を硬くして、部品を外れにくくする

設計は、コネクタや部品のエリアを単に囲えばOKです。

補強板のレイヤーもガーバー出力して注文します。

まとめ

  • フレキシブル基板(FPC)は曲げられて、小型化・軽量化し、配線をシンプルにできる
  • リジッド基板と比べ欠点もあるが、リジッド基板では作れないものを作れる
  • FPC特有の知識として耐屈曲性、設計、コネクタ・補強板を学ぶと良い(難しくない)

今後何かを開発するときに「フレキシブル基板という手もあるな」と思ってもらえると嬉しいです。