伸びる基板:Future of Intelligent Material 展 -電子デバイスの未来のカタチ-

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2018年11月27日 WeWork ギンザシックス にて Future of Intelligent Material 展 -電子デバイスの未来のカタチ- を開催いたしました。
このイベントでは新しい回路素材の展示や、それから生まれるデザインについてのプレゼンテーションを行い、”電子機器のデザインが変わる可能性” を実際に体験して頂きました。

『伸びる基板』

『伸びる基板』とは、フレキシブル基板とレーザーカッターを使用し切り絵(切り紙)の手法と組み合わせることで、伸縮する基板を実現したものです。イベントでは『天の川構造を用いた伸縮性LEDランプ』『巴型構造を用いた伸縮性LEDランプ』『伸縮基板を使った筋電などを計る電極』などを展示し、伸びる基板の特長の説明や開発経緯の紹介をしました。

動画より

(岩船)

この2つは天の川構造といって、七夕の(飾り)でよく用いられている縦のカットが入った構造になっていてそれによって伸びるようになっています。

一番奥のものは、私たちが巴型と呼んでいるものです。

フレキシブル基板(FPC)天の川構造
こちらの(天の川の)カットとは違って、平面的になりやすいのですが伸ばすと立体的になります。
こちらよりすごく同じ面積でも伸びやすいような構造になっていて、三次元形状に、より追従しやすい構造になっています。


(杉本)
ちなみに一番端に置いてあるのは実は電極です。
筋電などを計る電極を試しに作成しました。
このように回路が伸びる例としてご紹介しています。

フレキシブル基板 電極 筋電

回路はみんな伸ばしたいのです。
ウエアラブルやいろいろな需要で回路を伸ばしたいのですが、伸ばす方法はいくつかあります。

ひとつ、多いのが銀のペーストなどで印刷して、回路の素材自体が伸びるものです。
それはいいのですが、伸びると抵抗値が変わってしまいます。
そういうことで使いにくい部分があります。

これとかミアンダ配線(*)など違う種類もあるのですが、銅のパターンがうまく変形することで伸びるように見せるという種類があり、その種類だと電子部品を実装できたり、抵抗値も変わらなかったりします。
今までのものは割と弱い、細い線で伸びるみたいなイメージでした。
それを割とタフな構造でやるというチャレンジが起きています。

ただ、こぼれ話として、これだけ(天の川)では特許はうまく取れなくて、すごく苦労しました。
この天の川の構造が当たり前すぎて出来なかったのです。

悔しくて、変な形に作ってみたところから、この後折りに転換して、特許取れたという事情がありそちらに転換しました。

フレキシブル基板(FPC)伸縮性する基板
実は折り紙に展開するとすごく面白かったという話でちょっと解説をしてもらいます。



(小池)

どういうものかと言うと、これぐらいの板で2ミリぐらいのものは折ることが出来ません。
N字(に似た)カットを入れることによって、こういう感じで簡単に折れるようになるのがすごいという話です。

これがあると何がいいかというと、折り目を付けないというところで、配線を180度移動させたい場合に折り目を付けずに曲げだけで180度移動しているので、断線のリスクを減らして折り紙ができるものです。
こちらにあるランプも断線させずに立体にして、ランプとして使えるというものになっています。

フレキシブル基板 180度折りのための巴型切り紙回路


(杉本)
折り紙の研究はすごく、有名なのはミウラ折りという宇宙展開構造物や地図で使われています。
三浦先生も含めて、いろいろなとても広い研究分野です。
そこに回路という概念を入れられると、面白いことがたくさんできるのではないかと(思います)。

このハニカム(構造)ですが、ハニカムも川原先生たちの研究チームとのコラボレーションで実現したもので、平面から何が出来るのかといったときに、「(立体の)ハニカムが出来ます」という話を聞いてハニカムの中に回路の配線ができるのだったら、空間の好きな位置にLEDが置けるのではないかと思って作ったものがこれです。

フレキシブル基板 ハニカムランプ

(*)ミアンダ配線:https://www.oki.com/jp/otr/2018/n232/pdf/otr232_r15.pdf