特性インピーダンスコントロールとは
基板上の信号線に高速信号が流れる際、インピーダンス(交流抵抗)が変化するところで反射が発生し、信号の波形が乱れます。それによって製品に誤作動が生じたり、そもそも動作しないなどのトラブルを引き起こす原因となります。
反射を発生させない為にはインピーダンスを一定に保つ必要があるのですが、一定に保つ事を特性インピーダンスコントロールと呼び、基板では配線幅と絶縁層の厚みのコントロールで制御しています。回路の出力インピーダンスと次へ受ける側の入力インピーダンスを一致させることにより、より効率的にロスなく信号伝送することができます。
通常の特性インピーダンスコントロールFPCは柔軟性に欠ける
FPCで特性インピーダンスコントロールが必要な場合、MSL(マイクロストリップライン)と呼ばれる配線方法での計測、インピーダンスマッチングが主流になっております。
しかし、MSLではGND確保の為にベタの銅箔面積が大きくなる設計となり、一般的なFPCで使われる18µm or 35µmの銅箔をGNDとして使用しますと、FPCの柔軟性が損なわれるという課題があります。
片面FPCで特性インピーダンスコントロールを行うコプレーナという構成もあるのですが、柔軟性がある一方で、ノイズ耐性が弱くなってしまうというデメリットがあります。
そこで弊社では片面FPCである「P-Flex® PI」と、薄さが特徴のシールドフィルムを組み合わせた構成で、柔軟性を持たせたMSLでの特性インピーダンスコントロールの評価を行いました。
【基板層構成】
【TDR測定結果】※シングルエンド:50Ω狙い
【S21伝送損失測定結果】※伝送線路長:100mm
まとめ
カーナビやカメラ用途では特性インピーダンスコントロールを必要とするFPCの需要がありますが、筐体内への組み込みの為に、FPCの柔軟性も重要視されています。
弊社のP-Flex®は片面FPCではありますがシールドフィルムと組み合わせる事で、柔軟性も確保したMSL構成を実現する事が可能です。
引き続き特性インピーダンスコントロール評価については実施していく予定ですので、結果が出次第、今後も弊社HPにて発信していきます!