こんにちは!インクジェット実験室担当の田中です。「紙で折った鶴を自力で飛ばそう!」2回目です!
前回はこちら(↓)
▶ 【IJ実験室 : 紙で折った鶴を自力で飛ばそう!(1) 】
前回の予告通り、今回は紙の選定実験の報告です。片っ端から色んな種類の紙に印刷しまくりました!
実験用の紙を選定
・トイレットペーパー
・パルプ紙(クラシアEFハンドタオル)
・溶ける紙(インクジェット対応)
水に濡らした感じ
・溶ける下絵シート(透明ツルツル)
・プライク
・ヴァンヌーボV-FS Y73
印刷してみた!
お試し用に直線や曲線を描いたデータを用意し、銀ナノ粒子インクを使い描画します。乾燥、焼成(120℃3分)させた後、導通するかのチェックを行いました。焼成に使用したのはホットプレートです。
・トイレットペーパー
・パルプ紙(クラシアEFハンドタオル)
描画成功。トイレットペーパーの次にペラペラ。
・溶ける紙(インクジェット対応)
・溶ける下絵シート(透明ツルツル)
描画成功。こちらも溶けなかった。ツルツルで鶴折りにくそう。
・プライク(ホワイト)
・ヴァンヌーボV-FS Y73
描画成功。紙質も良さそう。写真の色味が若干温かみのある赤っぽいのは、加工ではなく、実際にこちらの紙の方が温かみのある色をしているから。
導通チェックした結果をグラフ化をしてみた
導通チェックした結果をグラフ化してみました。
計測したものは、長さ50mm、線幅1mmの線です。(単位は全て共通で抵抗値Ωです)
全て下の写真の赤線の部分を、ポータブルな簡易テスターで計測しました。
銀の体積抵抗率を調べると1.59 ×10−8Ω・mなので、銀の厚み0.1µmと仮定してざっと計算すると、16.9Ω。均一に塗れていれば、このくらいの抵抗値になるはずか。。。
まずこちら!1回、2回、3回…と重ね塗りしてから乾燥&焼成を行ったものです
1回 | 3回 | 5回 | 10回 | |
---|---|---|---|---|
パルプ紙 | 9,340,000 | 2,560,000 | 1,030,000 | – |
溶ける紙 | 3,940 | 508 | 311 | 4,135 |
下絵シート | 7,280,000 | 896,000 | – | – |
うーん…抵抗が大きすぎます…。
この中では溶ける紙が良さそうに見えますが、若干溶けているから値が低くなっているのかもしれないです。これは挙動が怪しいので今後の評価では除外しようと思います。ぱっと見は溶けてないように見えていたのに、数値化するとわかりやすく出てしまうんですね。
今のは重ね塗りした後に焼成の順番だったので、今度は描画→焼成を何回か繰り返してみましたが、こちらも思うような結果が出ず…。
とにかくうまくいかない!!!銀ナノインク導通しません!!(レインボーブリッジ封鎖できません!!のテンポで)
導通チェックした結果をグラフ化(再挑戦)
技術者斉藤さんと杉本さんに相談し…焼成温度が低いか焼成時間が短すぎるとのアドバイスをいただきました。焼成時間が短いということは、銀粒子同士が繋がっていないから抵抗値の値が安定せずに変な値になっていたようです。
ということで、次は焼成時間と温度の関係を把握すべく、焼成時間を10分、15分と前回よりも長めに二段階設定し、温度を120℃、140℃、160℃、180℃、200℃の五段階ごとに抵抗値を計って導通チェックするという形で再挑戦しました!
120℃ | 140℃ | 160℃ | 180℃ | 200℃ | |
---|---|---|---|---|---|
10分 | 3,416,000 | 1,662,000 | 395,200 | 22,230 | 1,273 |
15分 | 1,281,000 | 94,700 | 21,560 | 145 | – |
結果はこちら(↑)
180℃、200℃の時は紙が若干焦げてしまい、200℃15分は完全に焦げてしまったの
でダメでした。ですがこれで、高温で長時間しっかり焼成した方が導通しやすいとはっきりわかります!
焦げ始め、180度10分時
次回予告
実は…社内の方から、この紙なら導通しやすいかも…という情報をゲットしました!(今更とか言わないでください…!)
うまくいったら、インクを印刷した紙を実際に折ってみるところまでいきたいと思います!