前回の【IJ実験室 : レモンを吐出してみよう(1) 】リトマス紙にレモン汁を描画してみよう!では実際にレモンを描画してみました。
左:グラデーション 右:レモンの絵
さて、今回は左のレモンで描画したグラデーションで大体どのあたりの範囲が丁度良い酸っぱさなのかを求めてみたいと思います。
ちなみに私の予想は真ん中より少し上の範囲あたりが丁度いいかなと!
1.どのくらいの密度がちょうど良い酸っぱさ?
まず、原液のレモンでは震えあがるくらい酸っぱいのでどのくらいの密度でちょうど良い酸っぱさになるのか検証してみました。
方法は原液、2倍希釈、4倍希釈のレモン溶液をスポイト1滴分、私が味見してどの希釈率がちょうど良い酸っぱさかを決めます!
結果
4倍希釈が酸っぱすぎず、酸味も感じられてちょうど良い
4倍希釈がちょうど良いということがわかったので密度を考えたいと思います。原液のレモンの密度は1000Kg/m3(1g/mL)なので ちょうど良いレモン溶液の密度は250Kg/m3(0.25g/mL)でした!
2.スポイト1滴はIJの1液滴何個分?
IJの描画はとっても小さい液滴をたくさん滴下することで一つの絵になっています。なので、ちょうど良いグラデーション範囲を特定するためにスポイト1滴分は1液滴何個分なのかを求めてみます!
IJ実験機での重量測定より、1液滴の重量は4.33ngでした。レモンの密度が1000kg/m³なのでレモンの容量は4.33plということが分かります。
そして、スポイト1滴の重量が0.04gでした。なので4・10^7pl。
ということは、スポイトの一滴はインクジェットの1液滴の9,237,875.288683603倍の容量、つまりスポイト1滴は約9,237,875.3個分IJ試験機の液滴が必要ということになります。それぐらいIJの1液滴は小さいのですね~
3.IJの描画ってどうなってるのか
IJの描画ってどうなっているのでしょうか。さきほど言った通りIJの描画はとっても小さい液滴をたくさん滴下することで一つの絵になっています。どのくらいの個数滴下されているのかを表すのがdpiです。dpiとは dots per inch のことで「1インチ(25.4mm)の中に何個ドットがあるか」ということを指します。例えば10dpiであれば1インチの中にドットが10個。
今回の描画は1200dpiなので1インチ(25.4mm)の中になんと最大1200個ものドットがあるということになります!沢山!!
4.グラデーションのどこら辺がちょうどよいグラデーション?
いよいよ最終局面です!丁度良いグラデーションの範囲を見つけたいと思います!
・スポイト1滴だと原液を4倍希釈するとちょうど良いすっぱさ
・スポイト1滴は約9,237,875.3個分IJ試験機の液滴が必要
・今回のグラデーションは1200dpi
ということがわかったので、ちょうどよいスポイト1滴分のIJ試験機液滴は2309468.8個。
グラデーションは滴下する液滴を比例的に増やすことで出来ているのでそこからちょうどよいスポイト1滴分のIJ試験機液滴個数がどこの範囲に当たるか導きました。
5.結果
今回のグラデーションは1200dpiなので縦に3803列有ることがわかりました。また、比例的に液滴が増えているので一番濃いところである3803列目が横幅から1584個液滴があることがわかりました。1列目の液滴は0個なので以下のような比例式が出来ました!
この比例式を用いて、
2309468.8個も液滴が必要なので1番濃い列から地道に足し合わせて1967列の197.9個目ということが分かりました!
意外に広範囲の結果となりましたね~
実際になめてみて、酸っぱさを感じるレベルをこのグラデーションで表現すると、こんなに大面積になります。
なので、微細な味覚のコントロールがインクジェットを使えば出来そうですね!
酸っぱさを「何列の何個目」で表現できるなんて、ちょっとエモいですよねっ!!!
まとめ
・インクジェットの液滴が凄く小さいことが分かった
・インクジェットで酸っぱさを感じるには広い面積が必要
・自分に合う酸っぱさに調整することが自由に出来そう
・繊細なコントロールができるので日本料理にはマッチしそう~~