【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ とは
エレファンテック技術ブログ新企画、東工大の学生が初めてフレキシブル基板を使って、実際に電子工作する試行錯誤のレポートをお届けします。
新シリーズとして地球儀編のスタートです。今後ともよろしくお願いします!
ご挨拶
どうも、高橋です。ロボットアームも作り終わってないですが、諸事情により次の製作も始めていきます。
第3弾として「光る地球儀」を作ります。
経緯
ロボットアーム編の大きな教訓として”ハードウェアに凝ると死ぬ”というものがありました。アームだけで1年以上作ってますからね。よくクビが繋がってるなあと毎日思っています。
なのでハード部分が簡単に作れるというのは最優先事項になりました。
また、去年8月のMakerFaireなどを経てもう少し見た目の方向でアピールしたいなあという思いが芽生えました。というかロボットアーム作ろうとしたことに対する後悔が…
ともかく、見た目で引き付けるものというのも条件に。
大体このあたりでインテリア方向に発想が傾いたのですが、このあたりの記事を見てLEDたくさん並べたいなあと思って建前を探したら地球儀に思い当たりました。大陸部分が光るとか。
といってもただ光るだけでは面白くないので、時計機能も付けて『昼間のところだけ光る地球儀』なんてものはどうでしょう?
球形は手に余るので
地球儀と聞いてまず思い浮かべるのはあの球に軸がついて回るアレでしょうが、生憎立体物なんて作ろうとした日には設計&変更の嵐で難破するのが目に見えています。しかし、世界地図と言い換えてみるとあら不思議!平面でも文句を言われなくなりました!
ただせっかく曲げられるフレキシブル基板を使っているので、ぐるっと1周巻いて筒状にすればフレキシブル基板のアピールにもなるという巧妙な手法を採用。
あとはLEDを並べて陸地を再現できるように、その辺で拾ったフリーの白地図に対しMSpaintで縮小を繰り返し(あたまわるい)、ビット絵にしていきます。
before:
といってもダイレクトにこうなるわけではないので、ビット絵編集ツール的なものを使って日本を強調するなどしました。あとは縦方向を70パーセントまで圧縮することで、ぐるっと巻いてみたときの『この地球細すぎね?』感を軽減。
LED、その数実に575
上のビット絵の画像サイズは28×49、そのうち黒のマスが575個。
ここで問題になってくるのが、今回使おうとしているLEDが1つの消費電流が80mAだということです。これを575個フルに光らせるとなると46Aとなって一般家庭のブレーカーを落としかねない電力を要求します。昼間のエリアだけ光るようにしても、単純計算で半分の23A。
ということでLEDは列ごとに区切ってダイナミック点灯という方式で光らせることにします。
これは簡単に言うと1列ずつ高速で順番に光らせることで全部光っている”風”にする方式で、例えば7セグメントLEDや電光掲示板などのLEDアレイでよく使われます。
今回はLEDの列が全部で48列あるので、これを2列ずつまとめることで24ユニットとなり、それをさらに8ユニットずつ制御することにしました。これによって消費電力は驚きの1/8。幸いなことに安心圏内?の3A以下になります。
まあ3Aを直に流したらパターン幅6~10㎜くらいは必要になるので(参照)、電源は何本かに分けることにしましょう。
あと、根本的にLEDの消費電力が大きいのではという疑問について弁明を。
ぶっちゃけモロにチップLEDが見えていると、点光源なのでついついLED一つ一つに目が行ってしまって全体の示す形がわかりづらくなります。しかもまぶしい。なので、LEDの上に黒いシートを被せて光をぼやかせばより地図っぽく見えるのではないかと画策しています。そうすると光の強度がそこそこ無いと何も見えなくなるので80mAも使うパワーLEDを採用したというわけなのです。
最初は陸地を緑、海を青で光らせたらきれいかなーとも思ったんですが、そうするとLEDの数が3倍近くに膨れ上がるので20mA近くまでLED出力を落とさないといけないです。もしLEDを覆わなくていいよってなったらこっちも作ることにしようということで一旦没になりました。
(この章のタイトルも575になっているのに気付いたかな??)
並べる
たいへんでした。
コネクタを1つにまとめると流石に基板の幅が太くなり過ぎてうまく曲がらなそうなので、ひとまず3つに分割。
印刷
とりあえず基板データができたので、まずは紙で。
何となく地図っぽいですね。
地図部分の基板は、3Dプリンターでフレームを作ってそこに張り付ける形にします。
△円筒内に基板が入る予定
可動部分も無いのでそう苦労せずに済みそうです。ほんとか?
次回予告
早速基板を作っていきたいのですが、今回はちょっとした事情により大判のフレキシブル基板の製造に時間がかかっています。
というわけでとりあえず、今回の問題点である大電流を流すことについてちょっとした試験をするつもりです。
またその後、リジッド基板で制御用の基板を作り、紙で印刷した地図部分と合わせて検証してみます。
検証するポイントは主にサイズ等のハードウェア的な制約ですが、地図部の基板が完成次第、発熱などについても見ていきたいと思います。