【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ とは
エレファンテック技術ブログ新企画、東工大の学生が初めてフレキシブル基板を使って、実際に電子工作する試行錯誤のレポートをお届けします。
新シリーズとして地球儀編のスタートです。今後ともよろしくお願いします!
ご挨拶
どうも、高橋です。
ところで皆さんは大電流はお好きでしょうか?僕は嫌いです
LED575個
今回の地球儀での最大の問題は電流量です。
LEDが全部で575個、適正電流が80mAなので全部光らせると46A。これは死ぬので半分に減らした上で1/8のみ光らせるダイナミック点灯にすることで全部で3Aにする…という話でした。
で、実際に地図部分に電流を供給するラインは3つに分割することで各々1Aの負担で大丈夫になります。
ところで毎度お世話になってるFH12コネクタの定格って?
https://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/datasheet/FH12_catalog.pdfによると…
足りねえ!
しかも、設計上の都合で地図部分を3つに分割する必要が生じたため、1つの電源ラインに最大で2Aまで流れる可能性があるっぽい…
また、LEDへの供給ラインの電流量は平均で0.1A程度ではありますが、瞬間的には1Aまで流れるのでちょっとコワイ。
ということで、接触面積の広いコネクタが欲しい!
作った
幅1mmの配線をデカいパッドに接続。この形のパッドを持つ基板を2枚用意して、穴を通してネジで締めて押さえつけることで接続できるという寸法なのです。
ただ2枚ともリジッドではうまく接触しないので、少なくとも1枚はフレキシブル基板である必要があります。それも、ただフレキを当てるのではなくクッションを挟んで硬い板でフレキを挟み込むようにしましょう。
というわけで組み立てました↓
こんな感じで、シリコンのシートを挟んで3Dプリンタで印刷した押さえを締め付けることで強く接触させています。
これで抵抗値を測定してみたところ、はんだ付けした方が2.1Ω、押さえつけの方は2.1~2.2Ωとほぼ変わらない値となりました!
こういったはんだ付けやフレックスリジッドだと確実に接続できるうえに薄く済むという利点はありますが、取り外ししたい用途の場合はこのように押さえつけるだけのものでも問題なく使えそうですね。
今後もうちょっとしっかりした測定をしようと思います。
大電流も流してみた
こんな感じ↓
抵抗器は22Ωで許容1Wのものを5本並列、こうすることで約5Ωとなり1Aの電流が流せることになります。
赤外線カメラを使ってサーモグラフィも撮ってみました。
フレキシブル基板の表面温度が67.5℃。試験環境が27℃程度だったので+40℃となっていますが、まあ誤差の範疇……ポトッ
……んん??
抵抗の熱ではんだ融けるの巻
サーモグラフィ画像の左上で煌々と輝く抵抗塊。こいつの熱が配線を通して抵抗とリジッド基板の接続部に伝わり、融かしてしまったようです。
その後調べてみたところ、確かに抵抗に5W食わせると抵抗表面温度は150~200℃くらいにはなるらしいです…そりゃハンダも融けますね。
ところで、今回の試験で一番見たかったのは無論セラミック抵抗の発熱ではなく、フレキシブル基板の発熱でもなくリジッドとの接触部分の発熱なんですが、どうやって撮影すればいいんですかね。当初の企みとしては3~5分くらい流し続けてシリコンシートや押さえに伝わった熱を見たかったんですが……多分抵抗と基板を十分離した上で、抵抗をメタルクラッドなどのちゃんと放熱できるものにするべきなんでしょう。
ま、まあ、はんだ付けと張り合わせでの抵抗値の差も実際殆ど無いし大丈夫……なんですかね?
まとめ
・張り合わせ&押しつけでもはんだ付けとほぼ変わらない接触を実現できた
・抵抗の発熱は時にはんだも融かす
余談
上手くやればコイル作れそう