【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ とは
エレファンテック技術ブログ新企画、東工大の学生が初めてフレキシブル基板を使って、実際に電子工作する試行錯誤のレポートです。 失敗を繰り返し、本人たちは落ち込んでいることも多いのですが、読者のみなさん目線からすると、逆にものすごく参考になるのではないでしょうか。 とても面白いシリーズです!
平野&高橋です。
電卓、ようやく完成しました。長かった
完成
紆余曲折の果て、
完成しました!!!
長かった!!マジで長かった…
実際に電卓として動かしている動画がこちらです!
文字盤が無い?何か小数点おかしい?
そこはフレキと関係ない。いいね?
いいね?
製作を通しての反省点
初めてのフレキシブル基板ということもあり反省点が多すぎたので、備忘録も兼ねて書き連ねておきます。
各項目に貼られたリンクから経緯を見れるのでそちらもどうぞ!
回路設計での反省点
①ジャンパー抵抗を使おう!
一枚目の基板を作ったとき、ジャンパー抵抗の存在を知らなかったため、配線をまたぐのにリード線を用いていました。
これが原因で片面配線キビシイ…フレキつらい…とか言っていたので反省!!!です。
参照:【フレキシブル基板にチャレンジ!】電卓編おまけ[12]:基板設計知見編
②レジストはちゃんとパッドにかぶせよう!
一枚目の基板設計の際、私はレジストをパッドにかぶせる方法がわからなかったため、とりあえず普通の基板と同じように設計しました。
それがとてもよろしくなかった…。結果、はんだ付けをしてみたところ、はんだ付けに慣れていなかったこともありパッドをはがしてしまうシーンが発生しました。
参照:【フレキシブル基板にチャレンジ!】電卓編[6]:実装挑戦
③部品の選定はしっかり行おう!
これはフレキシブル基板に限定した話ではないのですが、電卓の制作を始めた当初はとにかくいそいで制作を行おうとしていたこともあり、基板の設計を終わらせる前に部品の発注を行いました。
その結果、出来上がった基板をいざ組み上げてみると、いろいろな問題点が発覚しました。基板は発注する前に紙に印刷してみることが大事ですね…。
参照:
【フレキシブル基板にチャレンジ!】電卓編[6]:実装挑戦
【フレキシブル基板にチャレンジ!】電卓編[7]:基板設計リベンジ1
【フレキシブル基板にチャレンジ!】電卓編[8]:基板設計リベンジ2
実装での反省点
①ガラス補強板をつけよう!!
前回の記事で触れるつもりだったんですが、最終版の基板には補強用のガラスエポキシ板をつけてあります。言い忘れてましたごめんね!!!でも我々も最終版を作ってもらう時に存在を知ったので…
これがあると基板が熱で歪まないのでリジッドと同じような感覚ではんだ実装ができます!便利!
特に第二版の基板でチャレンジした、ヒートガンによる実装の際に存在を知っていたらよかったんですがね。比較的無差別に熱をばらまくヒートガンでは基板が歪まないように調整するのが大変で、一度歪んでしまうと残りの部品のはんだ付けで非常に苦労しました。
②はんだごての温度を間違えるな!!
これで3枚くらい基板をダメにしています(バカ)。高温はんだ用はんだごてと混同したり、温度設定をミスったりでせっかく苦労して実装した基板が一発でお釈迦になってしまうので気を付けましょう
③細かいピッチのはんだ付けをするときはリジッドで練習しよう
初っ端のぶっつけ本番で印刷した今は亡き初版基板、(初めてのフレキシブル基板へのはんだ付けという点を鑑みても)本当に酷い実装でした。0.8mmピッチなんてリジッドでもやったことなかったのに…
④ヒートガン実装の時は部品を接着剤等で固定
部品をピンセット等で抑えながらやると片手がふさがる上、特にコネクタなどは圧力とヒートガンの熱で部品が歪んでしまう事もあります。あるいは固定がずれて弾き飛ばしてしまったり。かといって押さえないと下記のリンクのような悲劇が起こります。
部品固定用の接着剤やマスキングテープなどの耐熱性のある接着用具で、ずれないように固定しましょう。
ヒートガン自体もそこそこ大口径のもので、なるべく風が速くならないように程よい距離・風量で温めてあげるといいでしょう。
参照:【フレキシブル基板にチャレンジ!】電卓編[11]:疑似リフローに挑戦!
⑤横着ダメゼッタイ
今回の失敗の大半が横着の末に起きているような気がします。
横着、ダメ、ゼッタイ。
⑥無理だと思ったら大人しく依頼!
諦めが肝心です(白目)
こう見るとやっぱり6.実装挑戦でのミスが多くてホント何やってたんだろう。
読者の皆様方には我々の屍を越えて行ってほしいですね。
感想
高橋の感想
今回の企画ではコーディングと実装をメインで担当しました。最後の方は平野に投げてましたが…
フレキへの実装は最初のうちは死ぬほどハードでしたが、高級はんだごてとガラス補強版が揃えば普通のリジッド基板よりちょっと繊細くらいで普通にはんだ付けできるようになりました。慣れも多少はあるのでしょうが。というか最初の頃が不器用すぎたんでしょうね。泣きそう。
今回のプロジェクトでは迂闊が多かったというか、ろくにチェックしないまま印刷&死亡の流れが何度もあって学習しねえとな…と思いました(人間としてどうなのか)。特にフレキシブル基板という壊れやすくてリジッドより高級なものを扱う以上、慎重にならなければ。
平野の感想
今回の企画では主にフレキシブル基板の設計を担当しました。実装とコーディングもちょっぴり。
リジッドの基板の設計はちょっとだけやったことがあったのでフレキも何とかなるやろと思って突っ込みましたが、苦労の連続でした…。単純にフレキシブル基板の特性に悩まされたというのもありましたが、高橋も述べている通り見通しの甘さや経験値不足から来るミスも多くちょっぴりへこみました。
しかし再設計を繰り返し、やっと一作目を完成といえるような形までもっていくことができてうれしい限りです。基板設計の知見も悲しいほどにたまったので、いつかそれをまとめなおした記事も公開してみたいですね!
一段落のその先に
作って反省して次に活かす。この企画もようやく最初の製作が終了したということで、次の製作物に移行する時がやってまいりました。
実は3Dプリンター導入編(【フレキシブル基板にチャレンジ!9】番外編:3Dプリンター導入)の記事でもちらっと触れていますが、次の製作物はロボットアームです。
今回の電卓ほど時間はかからないで完成する予定です…!