【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ とは
エレファンテック技術ブログ新企画、東工大の学生が初めてフレキシブル基板を使って、実際に電子工作する試行錯誤のレポートをお届けします。
挨拶
こんにちは、平野です。
今回の記事では、Quadceptという基板CADを使ってフレキシブル基板を設計した感想を書いていきたいと思います。
Quadceptを使って設計した基板については↓こちら↓で紹介しています。
▶ 【フレキシブル基板にチャレンジ!】ロボットアーム編[6]:回路設計リベンジ
ちなみに、僕はQuadceptを使うこと自体が初めてです。今回設計した基板はごくごくシンプルなものなので、この記事で紹介できるのはごくごく一部になってしまいます。
Quadceptについて気になった方は、ぜひ公式サイトを参照してみてください!
Quadceptって?
一言でいうと日本発の基板CADです。
非商用なら多少機能制限があるCommunity版を使うことができるので、趣味の工作にも使うことが可能です!!!
そんなわけで使ってみたくなり、社員さんに相談したところ有償版のライセンスがあるとのことだったので今回フレキシブル基板の設計に用いてみることにしましたとさ。
使ってみた
使ってみて感じたお気に入りポイントと惜しいポイントを紹介していきます。
良いところ
- 猫でもわかりそうなマニュアル
マニュアルがとても分かりやすいです。
というかわかりやすさ以前に、僕は日本人なので最新のドキュメントが最初から日本語で公開されている時点で大喜びしました。ありがとうQuadcept…
▼これはマニュアルのマニュアル(何?)
- ティアドロップや曲線が書きやすい
フレキシブル基板の設計に欠かせないのがティアドロップや曲線配線。角ばった配線を基板上から淘汰することで、配線の断裂を減らすことができます。(詳しくは以下の記事を参照)
▶ フレキシブル基板 P-Flex®️ 設計のコツ「パターン設計編」このティアドロップを生成する機能はEagle,Kicadなどの無償CADにはあまり見られない機能ですが、Quadceptではいともたやすく生成することができます。
▼設定も簡単で分かりやすい!
- 部品設計ツールが使いやすい
他のCADにありそうでなかった、痒い所に手が届く機能がいろいろと実装されています。パッドの移動のモードに相対移動や絶対移動、回転、ミラーなど様々なモードが用意されていることや、連続配置などが容易に行えてなかなか快適でした(機能がいろいろありすぎるので詳しくは公式のマニュアルへ)。また、今回は使いませんでしたが異形のパッドを簡単に作ることができるのもなかなか良いポイントだと思います。
▼多ピン配列とかも便利
- 一点接続が容易
これも今回の基板設計では使っていない機能なのですが、マニュアルを眺めていて便利そうだったので紹介します。Quadceptでは、回路図エディタの方で一点接続をしたいところを指定し、それをPCBエディタに引き継ぐことができます。
惜しいところ
- 部品を定数ごとに作る必要がある
KicadやEagleは、例えば値の違う抵抗などを用いるとき、抵抗のパッケージを一つ用意してあとから個別に定数を設定します。しかし、Quadceptは同じ部品でも値が違うといちいち異なるパッケージを用意しなくてはなりません。そのため、用意されていない部品を使おうとしたときにちょっぴり面倒な時があります。 - オートルーターがない
Quadceptには部分的な自動配線機能はあるのですが、未配線部分をすべて自動で配線してくれる機能がありません(2019年現在)。僕は普段趣味で基板を設計するときは重要な部分以外の配線をオートルーターに投げていたので、オートルーターがないのはすこしつらい点です。
しかし、まともな基板を設計する際はそもそも自動配線はあまり使わないのかもしれませんし、人によってはあまり短所たり得ない短所かもしれませんね。
まとめ
全体の感想としては、他のCADにはありそうでなかった細かい機能が充実していてとても使いやすいという印象を受けました。また、異形のパッドが作りやすいことやティアドロップ機能があること、ほかにも高周波が扱いやすそうな機能などもあることからフレキシブル基板の設計にはこれ以上ない基板CADなのではないかと感じました。
Community版でも趣味レベルでは十分使えるCADなので、読者の皆さんも使ってみてはいかがでしょうか?
あとがき
でもlinuxサポートしてないので僕はkicadと一緒に生きていきます(完)