印刷Printing
当社では、高精度インクジェット印刷量産装置を自社開発しています。
NeuralJet™
インクジェットは本当に必要な部分にだけ材料を塗布できる究極の省材料技術ですが、機械的にワークを動かしながら液滴を飛ばして描画する、という仕組み上、高精度に狙ったパターンを描画することは容易ではありませんでした。エレファンテックでは、AI技術を用いた高精度インクジェット製造技術NeuralJet™によって、インクジェットが苦手とする自由曲線についても数µmの誤差で描画することが可能になりました。
NeuralJet™は、高度な制御技術とAI技術によって実現した、高精度インクジェット製造技術です。印刷動作の誤差、ノズル個性、ヘッド組立誤差、ノズル状態変化など多数の誤差要素を個別にモデル化せず、全て単一のAIのモデルによって吸収させることで、汎用ピエゾチップを用いながら高精度な吐出を実現し、量産普及に適した技術構成を実現しました。
エレファンテックは、当該技術を用いたプリント基板(PCB)の量産を2025年からスタートすると共に、半導体後工程やディスプレイなどPCB以外の用途にも展開していきます。
特徴1 :汎用ピエゾチップを用いた超高精度インクジェット塗布技術
汎用ピエゾチップを用いた独自印刷機で、「平均着弾位置誤差2µm以下※1」「20µmの液滴を40µmの溝や井戸に100%着弾※2」など、極めて高い印刷精度を実現しました。
特徴2 :ローカルの計算資源で動作する、統合された独自AIモデル
個別の誤差をモデル化して解決するのではなく、独自開発した統合AIモデルが全ての種類の誤差をモデル化して吸収します。MEMSプロセスのばらつきや組付けばらつきなどもAIが学習して補正することで高い精度を実現しつつ、かつローカルの計算資源で動作する軽量なモデルを構築しました※3。
特徴3 :AIがモデル化しやすいように最適化された流体制御と機械制御
世界で唯一※4、インクジェット金属ナノ粒子インク印刷によるPCBの量産を行っている経験を活かし、量産現場で使える実戦的な製造システムを構築しました。
特徴4:量産経験に裏打ちされた、実戦的な製造システム
これまでのパラダイムである「絶対的精度が出るように」ではなく、「AIがモデル化しやすいように」最適化された流体制御と機械制御によって、軽量なモデルで高い精度を実現しました。
- 80mm角ワーク内にランダムに配置した643点の液滴に対し、計測された座標と目標座標の平均着弾誤差が1.74µm(学習には用いていないバリデーションセット)。
- 4.8pL液滴を 、40µm幅の溝に2596点吐出し、溝外への付着なし。
- 装置規模に対応したGPU等が必要
- エレファンテック調べ、発表日時点。
詳しくはこちらをご参照下さい。
高安定性
インクジェット印刷方式は数千個のノズルからインクを飛ばして材料上に塗布するという、安定した描画品質を保つことが難しい方式です。さらに通常のグラフィック印刷と異なり対象が配線パターンであるため、1滴上手く飛ばなかったり飛沫が出たりするだけでその部分の断線や短絡が発生し、不良品となってしまいます。エレファンテックでは量産レベルの歩留まりを達成するため、ヘッド駆動信号制御の最適化や、インク供給システム、ノズル監視システム、ノズルメンテナンスシステムの開発等を通じ、金属ナノ粒子インクの長期間の安定吐出を可能にしています。
高生産性
インクジェット印刷において、高精細、かつ生産性を確保するためにはヘッドを多数並べることが必要になります。ヘッド数が増えるほど、精度と安定性を確保することは難しくなっていきます。エレファンテックでは吐出状態監視技術と誤差補正技術を組み合わせることで、数万以上のノズル数を持つ大型インクジェット装置の製造を可能とし、1台あたり30㎡/hレベルの生産を可能にしています。