エレファンテック、AI時代の超高多層基板向け低抵抗基板間接続用 銅ナノペースト「SAphire™ B」を開発 低温・大気下で低抵抗かつ高信頼性な銅ナノペーストにより、次世代超高多層基板を実現
エレファンテック株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:清水 信哉)は、この度、独自の自己組織化銅ナノ粒子(SA-CuNP)技術を用いた、多層基板の層間接続向け銅ナノペースト「SAphire™ B」を開発しました。高多層化・高密度化が進むAIサーバー・高速通信機器向け基板において、低抵抗で安定した垂直方向の導通形成に貢献します。
AI時代における層間接続材料のニーズ

生成AIの普及により、AIサーバー、データセンター、高速ネットワーク機器では、大量の信号を高速に伝送し、同時に大きな電力を安定して供給することが求められています。こうした高性能半導体の進化に伴い、半導体検査装置やプローブカード向け基板においても、超高多層化への要求が高まっています。
一方で、基板の層数が増えるほど、一体で製造する難度は高まり、複数の多層基板ブロックを個別に形成した後に接続する方式、いわゆるシーケンシャル方式(N+N, N+Mとも)の重要性が高まっています。このような超高多層基板では、基板ブロック間を低抵抗かつ高信頼に接続する技術が重要になります。
先行技術と課題
超高多層基板における層間接続や基板間接続では従来、樹脂と金属を混合した導電フィラー型ペーストが用いられてきました。導電フィラー型ペーストは長年実績のある材料ですが、樹脂と金属の混合体であるその特性上、電気抵抗が比較的高いという課題があり、用途が限定的でした。
そこで、よりハイパワー化、高速伝送化が進む多層基板でも使えるよう、電気抵抗の低い次世代導電ペーストとして、TLPS系材料、銀焼結材料、銅焼結材料などの材料が期待されています。このうち銅焼結材料は理論的には、TLPSより電気抵抗が低く銀焼結同等の抵抗値を実現でき、かつコストも銀に比べて桁違いに小さいという理想的な材料である一方、材料技術の難易度が最も高く、実用的な低温焼結ペーストを作るのが難しいことが課題でした。
| 特性 | TLPS系材料 | 銀焼結材料 | 銅焼結材料 |
|---|---|---|---|
| 体積抵抗値率 | 20–50 μΩ·cm | 5–20 μΩ·cm | 5–20 μΩ·cm |
| 材料コスト | 安価 | 銀材料のため、非常に高コスト | 安価 |
| 技術的難易度・実績 | 実績が豊富 | 層間接続では実績は多くない | 難しい。特に層間接続で求められる低温焼結が困難 |
SAphire™ Bの概要
エレファンテックは新たに、実用的な層間接続用銅焼結材料としてSAphire™ Bを開発しました。大気下 220 °C、1 MPaの熱プレス工程で、15 μΩ·cm 級という低い抵抗値を実現します。これは、独自の自己組織化銅ナノ粒子技術を用いたダイアタッチペーストSAphire™ Dを、層間接続用に再設計することで実現されたものです
| 特性 | 代表値 | |
|---|---|---|
| ペースト特性 | 粘度 | 標準:40 Pa·s カスタム:概ね 1–100 Pa·s |
| チキソ値 (100s⁻¹/500s⁻¹) |
標準:4 | |
| 塗布方法 | スクリーン印刷など | |
| 金属種別 | Cuのみ | |
| 金属含有量 | >90 wt% | |
| 焼結後特性 | 体積抵抗率 | 15 μΩ·cm |
| ボイド/クラックの有無 | X線CT観察において、 顕著なボイド・クラックは確認されず |
|
| 耐熱衝撃性 | 抵抗値変化 (−55 °C / 125 °C × 1,000 cycles) |
1 %未満 (試験前 71.6 mΩ、試験後 72.1 mΩ) |
信頼性試験
本材料は、1,000サイクルの信頼性試験 (ヒートサイクル)後も安定した導通を確認しています。具体的には、36ビア直列デイジーチェーンサンプルにおいて、−55 °C / 125 °C、1,000サイクルのヒートサイクル試験を実施し、抵抗値変化が1 %未満に収まることを確認しました。
まず、信頼性試験用サンプルを下記のようなプロセスで作成しました。プリプレグに形成したビアにSAphire™ Bを適用し、基材を重ね合わせた後、熱プレス一体工程でプリプレグ硬化と銅ナノ粒子焼結を同時に完結させることで、基板ブロック間の電気的接続を形成します。
SAphire™ Bによる基板間接続プロセス

このようなプロセスで作成したサンプルを−55 °C / 125 °Cの2槽式熱衝撃試験機に投入した結果、以下のように1,000サイクルでも抵抗値変化が小さく、X線画像でもボイドが無いことを確認しています。
熱衝撃試験中における125 °Cでの抵抗値変化

信頼性試験後も良好な接続状態を維持

高多層基板やモジュール基板では、実装時および使用時の温度変化によって、基板材料、銅配線、接続材料の熱膨張差に起因する応力が発生します。SAphire™ Bは、こうした温度変化環境下においても導通安定性を維持できる可能性を示しており、高信頼性が求められる用途への展開が期待されます。
今後の展開
現在SAphire™ Bは、国内外の基板メーカーとの評価開始に向けた準備を進めています。評価では、各社の基板構造、プリプレグ材料、熱プレス条件、接続孔形状または基板間接続部形状、材料特性およびプロセス条件の最適化を行ってまいります。
今後は、さらなる信頼性評価や、量産適用に向けた材料安定性の検証を重ねることで、お客様の高多層・高密度基板開発における低抵抗・高信頼な層間接続の実現に貢献してまいります。
当社は継続して、独自のナノマテリアル技術を通じて、AI時代の半導体パッケージングの課題解決に取り組んでまいります。
会社概要
| 会社名 | エレファンテック株式会社 |
| 設立 | 2014年1月 |
| 本社所在地 | 104-0032 東京都中央区八丁堀四丁目3番8号 |
| 代表 | 代表取締役社長 清水 信哉 |
| 事業内容 | 製造装置・材料の製造販売、プリント基板の製造販売 |
| URL | https://elephantech.com/ |
エレファンテック株式会社 広報担当 pr@elephantech.co.jp