エレファンテック、AIサーバ基板向け高アスペクトマイクロビア導電化ソリューションDeepVia™ HDIを開発
– AR3以上の超高アスペクトビアも実現し、AIコンピューティングを加速 –

エレファンテック株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:清水 信哉)は、この度、銅ナノ粒子インクとインクジェット印刷装置を用いた、高アスペクト比のマイクロビア導電化手法を開発しました。これまでの製法では困難なビアにも対応可能であり、AIサーバ基板の高性能化に貢献します。

AR2.0, 絶縁層厚200 μm, Via径 Φ100 μm

背景

生成AIの普及により、AIサーバには大量の信号を高速に伝送し、同時に大きな電力を安定して供給することが求められています。これに伴い、基板には限られた面積の中でより多くの配線を実現する高密度化・多層化が進んでいます。

その中で重要性が高まっているのが、高アスペクト比ビア(細く深い接続穴)です。より深い層まで効率よく接続できれば、基板設計の自由度が高まり、AIサーバの高性能化に貢献します。一方で、従来工法ではこうしたビアの導電化が難しく、量産上の課題となっていました。DeepVia™ HDI は、この課題を解決し、次世代AI基板の実現を支える新しいソリューションです。

これまでの課題

基板のビアは一般に、穴あけ→シード層形成→電気銅めっきという工法で製造されます。ビアが高アスペクト比になると、特にシード層形成で課題が発生します。シード層は通常、化学銅めっきと呼ばれるめっき技術で形成されます。これは銅イオンと還元剤を含む水溶液に漬けることで、銅イオンと還元剤が反応して銅が析出し、シード層が形成されるプロセスです。高アスペクトのブラインドビアになると、ビアの奥まで十分に銅イオンと還元剤が供給されずシード層が形成されなくなります。これが、高アスペクト化によるAIサーバの高性能化を阻む課題となっていました。

DeepVia™ HDIプロセスの概要

今回開発したDeepVia™ HDIでは、銅ナノ粒子インクを印刷して還元するという、化学銅めっきとは根本的に異なる方法でシード層を形成します。ビア穴あけ後、銅ナノ粒子インクをビアにインクジェット印刷装置で印刷します。この銅ナノ粒子インクは高AR用ビア導電化用に開発されたインクで、印刷されたインクがビア内に自発的に濡れ広がっていくことで、ビア内壁を銅ナノ粒子で覆い尽くします。次に、還元液に浸漬することで、銅ナノ粒子同士が結合し、銅膜を形成します。
化学銅めっきが、銅イオンと還元剤を徐々に供給する仕組みであるのに対して、銅を供給する工程と、還元剤を供給する工程を完全に分離した方式、と捉えることもできます。化学銅めっきのように銅と還元剤を同時に供給する場合、常に銅と還元剤が消費されるため、ビアの奥まで材料が拡散する速度と消費される速度が均衡してしまい、一定以上の深さに到達できないという原理的な課題がありましたが、銅と還元剤を別で供給することでそれを克服しています。

DeepVia™ HDIの対応範囲

手法 対応できる最大アスペクト比
無電解銅めっき(既存手法) 1.0 ~ 1.2
DeepVia™ HDI 3 ~ 4

DeepVia™ HDIを用いて、既にAR3.0以上の超高アスペクト比のBVHの試作に成功しております。既存の化学銅めっきではAR1.0以下が推奨されており、実力値としてもAR1.2程度とされているのに比べ、飛躍的な高アスペクト化が可能になります。

Φ100 μm AR2.0におけるシード形成時点での比較(電気めっき前)

またDeepVia™ HDIでは、インク塗布については事実上アスペクト比の制約がありません。インク自体は、高さ6 mmといった非常に深いビアにも塗工可能なことが分かっています。インク塗布以外の工程がボトルネックになるため、それによって6 mmのブラインドビアができるわけではありませんが、少なくともナノ粒子でビア内壁を覆う部分においては、事実上アスペクト比の制約から解放された形となります。

また、信頼性試験についても、基礎的な信頼性試験をクリアしています。

信頼性試験結果
HDI
穴径(Bottom) Φ0.1 mm、 絶縁層厚 0.2 mm、狙いめっき膜厚20 μm
温度条件:-55 ℃ (15 min.) / 125 ℃ (15 min.)
試験サイクル数:100 cycle(継続試験中)
判定基準:導通抵抗変化率±5 %以内
評価結果:合格
試験経過後において、抵抗変化率は判定基準以下であり、断線やクラック等の異常がないことを確認し、本試験に合格しております。

キー技術:自動吸着性ナノ粒子と自発濡れインク

今回の技術は、昨年の発表「銅ナノ粒子インクによるHDIマイクロビア形成プロセスを発表」に続くものです。前回発表に加えて、高アスペクト比のブラインドビアの導電化を実現したキー技術が自動吸着性ナノ粒子と自発濡れインクです。高アスペクト比になると、ビア全面にインクを直接インクジェットで吹き付けることは困難になるため、塗布したインクが自発的にビア内に広がっていき、かつ銅ナノ粒子がビア内壁に吸着することが必要になります。
そのために開発したのが、高アスペクトビア用の自発濡れインクです。このインクはプリプレグ内壁との動的な挙動をうまく設計してあり、プリプレグ内壁に銅ナノ粒子が順次吸着していくと共に、自発的に広がっていきます。これにより、極めてアスペクト比の高いビアに対しても、全面を銅ナノ粒子で覆うことが可能になります。このインクをインクジェットで精密に量を制御して打ち込むことで、ビアの導電化が可能となります。

今後の展開

エレファンテックは、本技術のキーである高アスペクトビア用銅ナノ粒子インクNCT-05と、専用印刷機DKシリーズを基板メーカー様に販売してまいります。既に複数の先端基板メーカー様と共同で検証を行っており、本年中の装置納入を予定しております。

お問合せ

エレファンテック株式会社
IJ装置材料事業本部 営業部
ijs-sales-unit@elephantech.co.jp

会社概要

会社名 エレファンテック株式会社
設立 2014年1月
本社所在地 104-0032 東京都中央区八丁堀四丁目3番8号
代表 代表取締役社長 清水 信哉
事業内容 製造装置・材料の製造販売、プリント基板の製造販売
URL https://elephantech.com/
メディアコンタクト

エレファンテック株式会社 広報担当 pr@elephantech.co.jp